工場のIoT導入がうまく進まない。原因はどこに?
◇前置き
皆さんはIoTという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
私の勤め先では、「会社としてIoTを推進する!!」と経営層が張り切っているのですが、全然うまく進んでいません(笑)。
世の中的にも、工場のIoT化がうまくいかないケースは多いと聞きます。
今日は、「なぜうまくいかないのか?」について考えていきたいと思います。
◇IoTとは
IoTとは、Internet of Thingsの略称で日本語では「モノのインターネット」と略されることが多いです。
読んで字のごとく、「モノ」をインターネットにつなぐ技術のことです。
ここでいう「モノ」は、PCやサーバー等ではなく「従来はインターネット接続できなかったモノ」のことを指しています。
身近な例を挙げると「IoT家電」が分かりやすいかと思います。
エアコンやポット等の家電をインターネットに接続することで、スマートフォンで遠隔操作や監視をすることができます。
◇工場のIoT化とは
「工場をIoT化する」ということは「工場の生産設備をIoT化する」のと同義です。
生産設備にIoT対応のセンサーを設置して計測値をロギングできるようにしたり、ロギングした数値を使って設備の状態を見える化したりすることが、導入初期の取り組みには多いです。
人間がデータ取り・解析をしようとすると、膨大な時間と労力が必要になります。
IoT機器をうまく使うことが出来れば、膨大なデータを自動で採取・解析することが出来るので、設備の保全や改善にかかる工数を削減しつつ質の高い生産活動をすることが出来ます。
◇IoT化が失敗する原因
ここからが本題です。
なぜ工場のIoT化がうまくいかないのか?
「要件定義が出来ていないから」
これが全てだと思っています。
要は、「IoT機器を導入することで何を実現したいのか?」が明確に定義されていないことが失敗の主要因だということです。
目的を決めずに「なんか流行ってるから・・・」と適当にベンダーが提供するIoTツールを導入すると高確率で失敗します。
目的を決めずに導入したツールは誰も使わないからです。
導入途中で挫折してしまうケースも良くあります。
導入目的も分からずに進めていると「何をしたら良いのか?」「どこまでやったら完成なのか」「自分は今、何をしているのか?」となってしまいます。
IoT化は「手段」であって「目的」ではない。
これが理解できていない企業が、工場のIoT化に失敗しているのだと思います。
◇工場のIoT化を成功させるには
まずは、目標・目的を明確にすることでしょう。
そしてもう一つ、「IoTにこだわりすぎないこと」も大切だと思います。
IoT化はあくまでも「手段」の1つです。
目標・目的を定義した後、IoT化よりも適した手段があるのであれば、そちらを採用するべきです。
IoT化を前提に、「何ができるか」と考えているうちはうまくいかないだろうなぁ、と私は思っています。
◇最後に
IoTに限った話ではなく、「手段」と「目的」を混同してしまうと何事もうまく進みません。
どれだけ下っ端の我々から「まずは目的を決めましょう」と提案しても、偉いさん方から「なんでも良いからIoTをやるんや!」と言われてしまえば、どうしようもありません。
経営層やマネジメント層に、IT・ICT・IoT等に関する知識や学習意欲が無いことが、そもそもの原因では?と思ってしまう今日この頃です。
とはいえ、他人の考え方や価値観を変えるのは、ほぼ不可能です。
会社の経営が傾いても、他の会社から必要とされる人間でいられるよう、努力と勉強は続けていきたいですね。